お父さんの思い出はお嫁にいきました
車のディーラーで以前働いていた父。
整備担当だった為、お客様から廃車の車を譲りうけたりしていたようで、お気に入りの車種がやってくると、以前工場として使っていた、実家の倉庫に持っていっていた。
自分が買った車も、買い替える度に、倉庫に入れていた。
そして、気づいたら、その数30台以上になっていたのであった。
職場が廃業に追い込まれ、転職して今度はタクシー運転手に。
休みの日は、コレクションの車たちの整備に出掛けていた。
定年になり、アルバイト運転手になり、時間ができ、
「そろそろ俺も終活を」と、車の売却を始めた。
昭和30年〜50年のもので、「クラシックカー欲しい方、現状売却で」と、売る相手を口コミで探し始めた。
つい先日、最後の1台を売ることが出来た、父から報告があった。
最後の一台は、ダットサンブルーバード。
父が、車の業界に入っていったきっかけとなった車であった。
ポラロイドの写真も、コピーもせずに渡してしまったという。
最愛の人と別れた後のようか?と思ったら、意外に元気であった。
最近、クラシックカーを描くために資料が欲しくて、父に、「なんかカタログない?」と聞いたら、例のブルーバードの現物カタログを何冊も持ってきた。
どうやら宝物は、こっそりとっておいたようである。